とある博士のパパさん日記

今後は主に出産・育児に備えた記事を書く予定です。

新型コロナウイルス感染症による先端虚血性病変(アクロ虚血)

 下記の記事では、手足の皮膚病変の一般的な病名は"Covid toes"と記載されていますが、おそらくはアクロ虚血"acro-ischemia"方が一般的なワードかと思われます。

www.fnn.jp

 

 FNNニュースが引用していると思われる文献情報

 COVID-19患者で血液凝固が変化し、COVID-19重症患者では末期の虚血性病変が確認されているため、無症状または軽症患者でも急性先端虚血性病変が懸念されると言っているだけで現状では何も根拠データはない状況でした。

文献の概要

 スペインのマドリッド バルベルデ地区にある公立総合病院のFernandez医師らは、新型コロナウイルス感染症と広範囲にわたる蕁麻疹または紅斑性発疹、水痘様発疹などのいくつかの皮膚症状が関連していることを報告しました(1)。COVID-19重症患者では虚血性および斑状の末端病変と凝固障害の症状が確認されました。また、コロナウイルスの流行時期と一致して、若い健常者でも同様の先端虚血性病変が確認されたと報告しています。ただし、現段階では臨床的意義とCOVID-19の関係は不明とのことです。

 Fernandez医師らは、132人の患者のうち16人で皮膚病変の前にCOVID-19の症状があらわれ、3人は皮膚病変とCOVID-19の症状が同時に確認されたことを報告しています。また、皮膚病変の平均潜伏期間は8.7日(2〜24日の範囲)であったと報告しています。

*皮膚病変には2つの異なるパターンが確認された。

  1. しもやけ様アクロ虚血:95人の患者(72.0%)でつま先と指の遠位側面に赤紫の黄斑および小結節が特徴的な病変が確認された。
  2. 多形性紅斑様アクロ虚血:37人の患者(28.0%)で融合する傾向がある丸みを帯びた紅斑および小胞が特徴的な病変が確認してされた。この37人の多形性紅斑様アクロ虚血患者のうち2人(5.4%)は、喉、肘、膝、耳など体の他の部位でも病変を示しました。

 COVID-19患者で血液凝固が変化し、末期の虚血性病変はCOVID-19の重症患者で確認されており、播種性血管内凝固を呈したと報告されています。文献でFernandez医師らは無症状患者または軽症患者における急性先端虚血性病変の臨床的意味についての懸念が高まっていると述べていました。この調査した患者ではCOVID-19と他の合併症は確認されなかったとも報告されています。 

 

引用文献:

  1. Fernandez-Nieto, D., et al., Journal of the American Academy of Dermatology., 2020.