過度な運動による上気道感染症のリスク
最近は、新型コロナウイルス感染症が少し落ち着きを見せてきて、外でランニングしてる方をよく見掛けるようになりました。外出自粛による運動不足やコロナ太りのためのダイエットなど、様々な理由があると思います。適度な運動は健康に良いですが、今の時期は過度なトレーニングは避けたほうが良いでしょう。
なぜなら、
フルマラソンなど激しい運動をした後は、免疫機能が抑制され、上気道感染のリスクが高くなることが報告されているからです(1)。つまり、今の時期に過度な運動をすると新型コロナウイルスに感染するリスクが高くなってしまう可能性があります。
こことで示す過度な運動とは、フルマラソンやアスリート選手が行うトレーニングなので普通の方はあまり関係はないかと思われますが、中にはランニング好きでフルマラソンの大会によく出場する人もいるかと思います。そう言った方は注意した方が良いかもしれません。
例えば、ロサンゼルスのマラソン大会に参加した選手の12.9%が病気を報告したのに対して、参加しなかった対照群のランナーでは2.2%と、病気のかかり易さに5.9倍の差があることが報告されています(2)。また、ランニングを週96 km以上行っている人と、週32 km未満のトレーニングを行っている人を比較した場合では、病気のかかり易さに2倍の差があったことが報告されています。
以上のことから、
適度な運度は良いかもしれませんが、せっかく新型コロナウイルスがおさまってきたのに、また感染者数が増えてしまうのは避けた方が良いので過度なトレーニングはまだ控えた方が良いかと思われます。
また、2000年のシドニーオリンピックの際に、ニュージーランドの医療チームへの相談の内、喘息を除く気道疾患の割合が33%との報告もあります(3)。
こう言った報告もあるので、果たしてオリンピックは来年に行えるのか、行っても平気なのかとても心配になるところです。
引用文献:
- Peters, E. D., South African Medical Journal., 1983, 64(16), 582-584.
- Nieman, DAVID C., et al., J Sports Med Phys Fitness., 1990, 30(3), 316-328.
- Robinson, D and Milne, C., British Journal of Sports Medicine., 2002, 36(3), 229.