5-3-1. 新型コロナウイルス感染症の重症化リスクは高齢者男性で明らかに高い
1,000人あたりの50歳未満の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者で死者がほとんどいないのに対して、50代と60代前半の患者では1,000人あたり約5人が死亡している。また死亡者は女性よりも男性で多い。死亡リスクは高齢になるほど急激に上昇します。70代後半以上の高齢者では1,000人あたり約116人が死亡しています。
新型コロナウイルスの年齢別の死亡率の傾向は、パンデミックの初期から明らかになっていることです。調査によると、COVID-19の死亡リスクは年齢が最も強い予測因子であることが報告されており、50代半ば、60代、70代の高齢者が非常に危険です。
しかし、死亡リスクは年齢だけで全てを説明することはできません。性別も強力なリスク要因であり、男性は女性よりも死亡リスクが2倍高くなっています。また、高齢者の推定死亡リスクは国によって異なることから、COVID-19の利房リスクは、生活習慣による健康状態、医療技術や高齢者の介護施設に住む人々の間で感染が拡大しているかにも関連していることが示唆されています。
高リスクな年配男性
6月と7月にイギリスで抗体検査を行い、約6%がSARS-CoV-2に対する抗体を保有していることが判明しました。この結果から、イングランド全体の感染致死率を計算すると0.9%、つまり感染者1,000人あたり9人が死亡していることになります。15~44歳の感染致死率は0に近く、65~74歳は3.1%、75歳以上は11.6%に増加しています。
スペインで行われた同様の調査では、人口全体の感染致死率が約0.8%でした。年齢別にみると、50歳未満の場合は0に近く、80歳以上の男性では11.6%に急増していました。同年齢層の女性では4.6%で、男性が女性よりも死亡リスクが高いことが明らかなことを示しています。
このスペインの研究は男性の死亡リスクが女性の2倍であることを示しています。これは男性と女性の免疫システムの反応の違いが関係している可能性が考えられています。女性の免疫システムは、病原体を早い段階で検出することに優れている可能性があると言われています。
引用文献: