1-2. コロナウイルスのゲノム配列
新型コロナウイルスのゲノムは、以前のヒトコロナウイルス(またはSARSに似たコウモリコロナウイルス)と80%以上同一であることが報告されている(1)。タンパク質構造は、スパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)、ヌクレオカプシド(N)遺伝子を含む4つの構造遺伝子によって構成されている(図1)。orf1ab遺伝子はpp1abタンパク質と15nspsをコードする新型コロナウイルスで最大の遺伝子である。orf1a遺伝子は10nspsを含むpp1aタンパク質をコードします。進化の系統樹によると、新型コロナウイルスはSARSコロナウイルスのグループと似ています(図2)(2,3)。最近の研究では、SARSコロナウイルスおよび新型コロナウイルスの顕著な違いとして、8aタンパク質の欠損、新型コロナウイルスの8bおよび3cタンパク質のアミノ酸数の変異などが報告されています(図1)(1)。武漢コロナウイルスのスパイク糖タンパク質が相同組換えにより変異していることも報告されています。新型コロナウイルスのスパイク糖タンパク質は、コウモリSARSコロナウイルスと未知のベータコロナウイルスの混合物であると推測されています(3)。新型コロナウイルスも同じACE2(アンジオテンシン変換酵素2)細胞受容体と、以前にSARSコロナウイルスで使用されていた宿主細胞への侵入メカニズムを使用することが確認されています(4,5)。新型コロナウイルスのスパイク蛋白質で単一のN501T変異がACE2に対する結合親和性を大幅に強化している可能性があります(6)。
引用文献:
- Wu, Aiping, et al., Cell host & microbe., 2020.
- Internationl Journal of Infections Diseases., 2020, 91, 264-266.
- Li, B., et atl., mSphere 5., 2020.
- Viruses., 2020, 12(2), 135.
- Science China Life Sciences., 2020, 63(3), 457-460.
- Journal of virology., 2020, 94(7).
- Shereen, Muhammad Adnan, et al., Journal of Advanced Research., 2020.