とある博士のパパさん日記

今後は主に出産・育児に備えた記事を書く予定です。

5-7. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における皮膚症状

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状として皮膚症状が報告されています(1,2)。

 イタリアのRecalcati医師は、イタリアのロンバルディア州のレッコ病院に入院しているCOVID-19患者(88人)について皮膚病変について調査した結果、18人(20.4%)で皮膚症状を発症していることを報告しました(1)。COVID-19による皮膚症状は主に体幹で、紅斑性発疹が14人(77.8%)、広範囲の蕁麻疹性が3人(16.7%)、水痘様小胞が1人(5.5%)確認されました。

 これらの皮膚症状の痒みは、ほとんどないか、全くなく、病変は数日で治癒されたと報告されています。また、皮膚症状と重症度の相関関係はなかったとも報告されています。Recalcati医師は、COVID-19による皮膚症状は一般的なウイルス感染中に発生する皮膚病変と同様であると推測していました。

 

  タイの研究者らも2020年3月5日時点で48人のCOVID-19患者を経験し、これらの患者の中で点状疱疹を伴う皮膚発疹の症状を報告していました(2)。タイでは、デング熱が流行っており、皮膚発疹はテング熱による一般的な臨床所見であるため、当初、テング熱と誤診されていました。後に、テング熱だと思われていた患者が呼吸器系に問題を呈し、三次医療センターでRT-PCRを行なったところCOVID-19と最終診断されました(3)。

 新型コロナウイルス感染症の無症状患者で最初に皮膚の発疹を呈する場合、別の疾患と誤診される可能性があります。特に、無症状の場合は発熱がないため誤診される可能性があります。こう言った誤診は、本来、呼吸器感染症対策を講じられるべきはずの患者に対して何も対策が講じられず、感染拡大の原因に繋がってしまう危険性があります。COVID-19患者が皮膚発疹だけを持っている可能性を認識し、診察と感染を防ぐための対策を講じる必要があります(2,3)。 

 以上のことから、アメリカのFreeman医師らは、新型コロナウイルスと皮膚疾患の関係性を調査し、皮膚疾患がCOVID-19の早期発見に役立つかどうか、COVID-19と皮膚症状の更なる特徴付けが重要であると報告しています(4)。

 

引用文献:

  1. Recalcati, S., Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology., 2020.
  2. Joob, Beuy, and Viroj Wiwanitkit., Journal of the American Academy of Dermatology., 2020, 82(5), e177.
  3. Joob, Beuy, and Viroj Wiwanitkit., The Journal of Hospital Infection., 2020.
  4. Freeman, Esther E., et al.,  Journal of the American Academy of Dermatology., 2020.(Pre-proof)