とある博士のパパさん日記

今後は主に出産・育児に備えた記事を書く予定です。

約3%の人は新型コロナウイルスの抗体を持っている?

 2020年5月3日に報じられた下記のNHKニュース記事では、神戸市の病院で新型コロナウイルス以外の理由で受信した患者1,000人を対象とした調査で、およそ3%が新型コロナウイルスに感染していたことを示す抗体が検出されたそうです。

  

www3.nhk.or.jp

 

調査の詳細

 神戸市中央区にある市立医療センター中央市民病院などのグループは、2020年3月末から4月7日にかけて、新型コロナウイルス以外の外来を受信した患者から無作為に1,000人を選び、血液中に新型コロナウイルスに感染した後に出来る「抗体」があるか検査しました。

 

  • 外来を受信した患者集団は果たして無作為なのか?

 外来を受信したと言うことは、何かしらの病気またはケガなどによって外来を受信したと思われます。従って、健常者を対象とした場合の数値、結果とは大きく乖離している可能性が示唆されます。

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、若者(若者?40台以下)に多く、高齢者では重症化しやすい傾向にあります。従って、1,000人の調査対象者の年齢などによっても結果は大きく変動すると考えられます。細かいですが、新型コロナウイルス感染症は男性で54.4%と、男性で少し多い傾向にあるため、もしかしたら性別の偏りも結果に影響してくるかもしれません。

 個人的な感想ですが、対象患者集団の詳細情報がわからないデータからでは議論のしようがないかと思われます。

  • 抗体検査のキットはどこの製品を使用したのか?

 抗体検査は一般的に診断性能が悪いと言われています。抗体検査ではありませんがPCR検査の感度は60%ほどと言われています。これは10人が新型コロナウイルスに感染していたとして、その患者をPCR検査すると6人しか陽性判定されず、残りの4人は偽陰性になります。使用した抗体検査キットの診断精度が不明であるため、今回使用した抗体検査の感度・特異度によっては真の値とズレてしまっていることが懸念されます。

調査結果

 神戸市中央区にある市立医療センター中央市民病院に新型コロナウイルス以外で外来受信した患者1,000人を無作為に選び、血液中の抗体を検査した結果、33人(3.3%)から抗体が検出されました。

考察

 調査対象者が外来患者に限られることや抗体の正確性にも懸念があることを考慮した上で、神戸市の人口に換算するとおよそ5万人が感染していることを推定しました。

 

 

 個人的な感想ですが、この調査はあくまで神戸市の調査なので他の地域とでは感染者の数(罹患率)が異なります。従って、日本人の約3%が新型コロナウイルスの抗体を持っているかと言われたらおそらくNOです。

 また抗体検査は診断精度が悪いため、この3%の結果もどこまで正確かは不明です。従って、あくまでも現段階では目安程度であり、この値からどうこう議論するのはまだ早計だと思われます。