2-1. 各国の新型コロナウイルス感染症（COVID-19）による死亡者数について

　日本の新型コロナウイルス感染症による死亡者数は本当に少ないのか？

　日本の新型コロナウイルス感染症による死亡者数、致死率（死亡者数を確認されている感染者数で割った値）、国土面積あたりの死亡者数、人口1万人あたりの死亡者数において他の先進国と比較して日本は低い値を示した（表1,2）。

　新型コロナウイルス感染症による死亡者数は、7万6,916人でアメリカが最も多く、日本の死亡者数は621人とG7の先進国（フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ）の中で最も低い。一方、死亡者数を感染者数で割った致死率は、フランス、イギリス、イタリア、メキシコが10%を超えており、アメリカよりも高い。致死率においても日本は3.9%と先進国の中で最も低い値を示した。

　しかし、この致死率は感染者数と死亡者数を正確に把握していないと正しい数値にならない。新型コロナウイルス感染症の場合、無症状や軽症患者が多く、正確な感染者数を把握出来ていないと思われる。そのため、各国の致死率は目安程度であまり参考にならないと考えられる。

表1. 主要国家の感染者数と死亡者数および致死率

	感染者数	死亡者数	致死率（%）
フランス	137,073	26,338	19.2
イギリス	219,187	31,855	14.5
イタリア	219,070	30,560	13.9
メキシコ	33,460	3,353	10.0
世界	4,006,257	278,892	7.0
カナダ	67,996	4,728	7.0
インドネシア	14,032	973	6.9
ブラジル	155,939	10,627	6.8
アメリカ	1,271,645	76,916	6.0
中国	84,450	4,643	5.5
アルゼンチン	5,924	300	5.1
ドイツ	169,575	7,417	4.4
日本	15,798	621	3.9
インド	67,152	2,206	3.3
トルコ	138,657	3,786	2.7
大韓民国	10,909	256	2.3
南アフリカ共和国	10,015	194	1.9
オーストラリア	6,941	97	1.4
ロシア	221,344	2,009	0.9
サウジアラビア	39,048	246	0.6

　日本は、アメリカや中国と比べると国土面積も小さく、人口も少ない。従って、国土面積や人口から考えるち、日本の感染者数と死亡者数が少ないのは妥当な結果だと思われる。そこで、表2では100平方キロメートルあたりの死亡者数と人口1万人当たりの死亡者数を算出した。

　その結果、人口1万人当たりの新型コロナウイルス感染症による死亡者数は5.05人でイタリアが最多であった。一方、日本の人口1万人あたりの死亡者数は0.05人で、先進国の中で最も低い値を示した。また100平方キロメートルあたりの新型コロナウイルス感染症による死亡者数もイタリアが10.09人で最多であった。しかし、国土面積あたりの死亡者数では先進国の中ではカナダが0.05人で最も低い値を示した。日本の100平方キロメートルあたりの死亡者数は0.16人で先進国の中では下から2番目であった。

表2. 国土面積または人口1万人当たりの死亡者数

	死亡者数	死亡者数/人口	死亡者数/国土面積
イタリア	30,560	5.05	10.09
イギリス	31,855	4.79	13.01
フランス	26,338	4.19	4.78
アメリカ	76,916	2.35	0.80
カナダ	4,728	1.27	0.05
ドイツ	7,417	0.89	2.07
ブラジル	10,627	0.51	0.12
トルコ	3,786	0.46	0.48
世界	278,892	0.37	0.19
メキシコ	3,353	0.26	0.17
ロシア	2,009	0.14	0.01
アルゼンチン	300	0.07	0.01
サウジアラビア	246	0.07	0.01
大韓民国	256	0.05	0.26
日本	621	0.05	0.16
オーストラリア	97	0.04	0.00
インドネシア	973	0.04	0.05
南アフリカ共和国	194	0.03	0.02
中国	4,643	0.03	0.05
インド	2,206	0.02	0.07

　この結果から、日本の新型コロナウイルス感染症による死亡者数は先進国の中で特に少ないことが分かる。日本の医療技術、医療体制がしっかりしている証拠だと言える。しかし、日本はアメリカなど他の先進国と比べてグローバル化が遅れており、医療技術や医療体制がしっかりしているだけではなく、外国人の流入量が少なく、他国との交流が少ないため感染者数と死亡者数が少なくなっている可能性も考えられる。そう思うと、果たして日本が先進国の位置づけで良いのか懸念が残る。

引用文献：

1. https://covid19.who.int/（2020年5月10日閲覧）
2. Wikipedia（2020年5月10日閲覧）