6-1-1. PCR検査におけるサイクル数と重症度の関係について
PCR検査は陽性または陰性の判定結果だけに着目するのではなく、ウイルスの量(PCR検査のサイクル数)にも着目する必要がある。PCR検査でサイクル数が低く、陽性になった患者は重症患者または重症化する可能性があるので注意が必要である。
PCR検査のサイクル数は自宅療養または入院の判断基準になる可能性がある。
中国の研究者らは、重症患者の入院時と軽度から中等度の患者におけるウイルス量の比較と、入院中に重症化した患者と重症化しなかった患者のウイルス量を比較した。その結果、ウイルス量(PCR検査のサイクル数)と重症度に負の相関があることを報告した。
実験方法
2020年1月19日から2020年3月19日までに、中国の浙江大学 第一附属病院に入院した92人を調査した。ウイルス量は入院時に下気道から採取した喀痰を用いて、リアルタイムPCR(RT-PCR)でウイルスの核酸が検出されるまでのサイクル数を測定した。
92人中、30人は入院時に重症、残り62人は軽度から中等度の症例でした。軽度から中等度の患者62人のうち11人は入院中に重症化した。
結果
RT-PCRで核酸が検出されるまでのサイクル数(Ct値)は、入院時の重症患者では25サイクルであったのに対して、軽度から中等度の患者は28サイクルと重症患者のCt値が著しく低い値を示した(図1A)。従って、重症患者では下気道のウイルス量が多いことが示唆される。
さらに、入院中に重症化した患者と入院中に重症化しなかった患者でもサイクル数が24サイクルと29サイクルで、入院中に重症化した患者でウイルス量が多いことが判明しました(図1A)。また、図1BよりRT-PCRのCt値とCOVID-19の重症度に負の相関があることが示唆された。
引用文献: