とある博士のパパさん日記

今後は主に出産・育児に備えた記事を書く予定です。

7-2-4. 重症な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する間葉系幹細胞の治療効果について

 新型コロナウイルス感染症に対して臨床的に承認された有効な薬はまだありません。

 SARSコロナウイルスとMERSコロナウイルスの2つのコロナウイルスと同様に、新型コロナウイルス は、サイトカインストーム(CS)とそれに続く急性肺損傷(ALI)または急性呼吸促迫症候群(ARDS)を伴う異常な宿主免疫応答を誘発し、多臓器不全と死を招きます。CSのために集中治療室で治療された患者は、持続的な炎症により肺線維症に深刻な後遺症を引き起こし、肺機能不全を招き、生活の質を低下させます。重篤SARS患者またはMERS患者に感染後、コルチコステロイドを投与すると死亡率が減少しましたが、COVID-19ではウイルスクリアランスの遅延と患者の合併症を考慮し、コルチコステロイドの臨床応用が制限されています。重症患者におけるCS抑制と肺修復の両方の機能を備えた治療的介入を進めることが早急に求められます。

 間葉系幹細胞(MSC)は免疫応答を調節することができ、それによって炎症および免疫病理学を軽減し、ALIおよびARDS中の肺胞上皮細胞を保護することができます。さらに重要なことに、MSCは非生産的炎症を減少させる第Ⅱ相臨床試験ならびにALIおよびARDS患者における肺の生成を促進する上で有効であることが確認されました。MSC新型コロナウイルス由来のCS及びARDSを軽減、その後の慢性呼吸器不全および肺線維症の治療に有効であると思われます。

 世界中で新型コロナウイルスが絶え間なく流行り脅威と死亡者数が急増し、新型コロナウイルス感染による死亡と後遺症を最小限に抑えるための新しい治療法の開発が重要な課題となりす。MSCは重症患者に対する治療法と考えれ、臨床試験でその有効性と安全性の検証が期待されています。

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重度のCOVID-19の治療における間葉系幹細胞の作用メカニズム

引用文献: 

  1. STEM CELLS Transl Med., 2020, 1-2.