レムデシビルのCOVID-19への効果について
GEN(Genetic Engineering & Biotechnology News)
GENは2020年4月24日にWHOが誤って公開したレムデシビルの暫定結果について報道しました。内容は、重篤なCOVID-19患者にレムデシビルが効かなかったと言うものです。
「意外でがっかり」
WHO(世界保健機関)は、中国で重症なCOVID-19患者を対象とした第Ⅲ相 臨床試験で、レムデシビルが臨床的な改善効果を示さなかったことを先日、誤って公開してしまいました。
ファイナンシャルタイムズが調査して発表した結果によると、治験に参加者した237人の患者のうち、158人にレムデシビルを投与しましたが血中の新型コロナウイルスを減少することができなかったと報告しています。また、158人のうち18人の患者は副作用のためレムデシビルによる治療を中断したとも報告しています。
レムデシビルの使用によって症状が改善するまでの日数、死亡率などにも関与しなかったと報告しています。治療28日後、レムデシビルを投与した患者群の死亡率は13.9%、未治療の対象患者群では死亡率が12.8%で統計学的な有意差は確認されなかったと報告されています。
ギリアド社は、今回の調査は、登録者数が少なく試験を早期に終了してるため、統計学的に意味のある結論を出すことはできず、今回の調査は重症患者が対象であったため、感染初期の患者に対する治療効果に関してはまだ有効かもしれないとも述べています。
中国で行われた成人のCOVID-19重症患者におけるレムデシビルの臨床試験に関する試験計画書は下記のURLから閲覧できます。
WHOは「うっかりウェブサイトに掲載し、間違いが認められるとすぐに削除した」と述べていたそうです。
個人的には、WHOが率先して新型コロナウイルスに対する対策や研究をリードして欲しいところですが、こうもミスが連続すると不安になってきますね。。。
レムデシビルの作用機序については以前の記事に記載してありますので、気になる方はご参照ください。
レムデシビルはヌクレオシド類似体でウイルスゲノムの複製プロセスを標的とし、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)阻害剤として機能します。